【連載】京のうまいもんを知る〜鶏肉編〜
株式会社ヤマモト
▼京都の生産者や食品会社、一流シェフのもとを訪れ、「京のうまいもん」を知るこのコーナー。今回は京都市内から車で50分、亀岡に工場を構える鶏のトータルプロデュースを行う会社「株式会社ヤマモト」さんにお伺いしました。
種鶏の輸入販売から孵卵場、農場運営、養鶏設備の運営、肉屋など種から加工まで全てを行うまさに鶏肉のプロ中のプロ。
今回はそんな鶏肉マスター、株式会社ヤマモトの取締役、食品部営業部長の金田さん(以下、K)にお話を伺いました。
ここがポイント
・食糧不足の救世主!未来で食べられるお肉は鶏肉だけ?
・最強の地鶏、丹波黒どりの魅力とは
・衝撃の事実。○○鶏は地鶏じゃなかった!?
食糧不足の救世主!未来で食べられるお肉は鶏肉だけ!?
ー今日はよろしくお願いします。まずは、鶏のトータルプロデュースということですが、具体的にどういった事業をされているのでしょうか。
K:種鶏の輸入販売、養鶏、農場施設の運営、精肉と加工まで鶏肉に関わることをトータルでプロデュースさせていただいております。おそらく皆さんが口にされる鶏肉もどこかのタイミングで当社が関わっていると思いますよ。自社ブランド「丹波黒どり」は全国の百貨店さんや飲食店さんでお使いいただいておりまして、大変好評をいただいております。
また全国の赤どり(両親の羽が赤い鶏)の種はほとんど当社が販売しております。
ーそうだったんですね。いつもありがとうございます。鶏肉は他のお肉よりも安価で買えるので非常に助かっています。。
K:今後食糧難の時代が来ると言われていますが、鶏は非常に餌代が安く、体重1kg増体に要する穀物飼料は牛の約5分の1。また他の肉と違い鶏は捨てる場所がほとんどなくロスがでないため、数を作れることから将来食べられるお肉は鶏肉だけになると言われています。
もちろん鶏の餌代も昔に比べて上がっているのですが、その分飼育期間が短くなったので販売価格は昔からあまり変わっていません。
※熊本県畜産広場HPより抜粋
http://kumamoto.lin.gr.jp/shokuniku/kisochisiki/kachiku_seisan/hikaku.html
ー本当にありがたいですね。チキンパワー恐るべし!!
京都最強の地鶏、丹波黒どりの魅力とは
ー自社ブランド地鶏「丹波黒どり」の特徴を教えてください
K:地鶏「丹波黒どり」は当社独自の掛け合わせによって開発した、黒く艶のある羽毛と鉛色の脚が特徴の自社ブランドです。鶏にストレスをかけないよう適度な運動が出来るような環境で丁寧に育てています。通常若どりが7週間週間の短い期間で出荷となりますが、丹波黒どりは倍の約13週間で出荷されるため、適度に締まった歯ごたえの濃い味わいの鶏肉になるのです。
そしてこの丹波黒どり、実はフランスに血統を持つのです。
ーそうなんですか。地鶏と聞くとその土地だけで続いてきたイメージがありました。
K:そう思われていることも多いのですが、その土地だけで育てようとするとどうしても近親交配ばかりになってしまうので、常に新しい種を輸入し続けなければいけません。丹波黒どりでは選び抜かれた血統を独自に丁寧に育てることでなめらかな肉質と深いコクを実現しています。フランスの高付加価値鶏市場で世界シェアNo.1の育種会社「ハバード社」との取引により良質な種を常に仕入れられるのも同社の強みです。
ーなるほど、地鶏といっても海外にルーツがあったのですね。金田さんのおすすめの食べ方を教えていただけますか。
K:唐揚げやすき焼きにしても美味しいですが、やはり丹波黒どりに関してはシンプルに塩焼きが一番美味しいです。じっくり丁寧に炭火で炙っていただくとより美味しさが引き立ちますね。
衝撃の事実。○○鶏は地鶏じゃなかった!?
K:実は一般にはあまり知られていないこととして、地鶏と銘柄鶏は全く違うものなのです。よく名前を聞くブランド鶏は地鶏ではなく銘柄鶏といわれるものが多く含まれているのです。
ー地鶏と銘柄鶏とはどう違うのですか?
K:地鶏と名乗れるのはかなり厳格な基準があるんです。極端にいうとその基準を満たさなかったものは全て「銘柄鶏」です。実は銘柄鶏は各地域で勝手に名前をつけられるのです。
もちろん普通の若どりより飼育期間を長くしたり、餌を変えたりして味がよくなるよう工夫をしているところもありますが、地鶏のように厳密な基準が無いので曖昧なのです。
だからスーパーで並んでいて同じ鶏でも「銘柄鶏」として名前をつけるだけで値段がハネ上がったりもするのです。
ーえ、そうだったんですか?何も分からず買っていました。自分の舌で確かめる必要があったのですね。
ちなみに先ほどおっしゃっていた「赤どり」も銘柄鶏だったのでしょうか。またよく名前を聞く名古屋コーチンや宮崎のじとっこ、徳島の阿波尾鶏などももしかして。。
K:そうですね。全国の赤系の鶏は銘柄鶏です。
名古屋コーチンやじとっこ、阿波尾鶏などは行政が主導が作っているもので、いわゆる地鶏です。ややこしいですね。。
ただ若鶏も十分美味しいと思いますし、調理法と味付けで色んなバリエーションも出せまし。いくつかのサービスエリアで販売している赤どりの唐揚げも好評をいただいております。
※地鶏の基準は以下をご覧ください。
(地鶏肉の規格)
第3条
地鶏肉の生産の方法についての基準は、次のとおりとする。
事 項 |
基 準 |
素 び な |
在来種由来血液百分率が50%以上のものであって、出生の証明(在来種からの系譜、在来種由来血液百分率及びふ化日の証明をいう。)ができるものを使用していること。 |
飼 育 期 間 |
ふ化日から75日間以上飼育していること。 |
飼 育 方 法 |
28日齢以降平飼いで飼育していること。 |
飼 育 密 度 |
28日齢以降1平方メートル当たり10羽以下で飼育していること。 |
出典(一般社団法人日本食鳥協会HPより)
http://www.j-chicken.jp/anshin/about.html
全国の地鶏と銘柄鶏の特徴は以下よりご確認いただけます。
http://www.j-chicken.jp/anshin/sanchi1.html
ー今日は貴重なお話ありがとうございました。知らないことだらけでたくさんの発見(銘柄鶏のことは聞かないほうが良かった?)がありました。毎日口に入れている鶏肉ですが、様々な工程を経て我々の食卓に運ばれているのだと改めて感じました。本当にありがとうございました。
【DATA】
株式会社ヤマモト
所在地:京都府亀岡市保津町上火無66-2