【酒屋さんインタビュー】日本酒は酒屋で!街の酒屋で酒を買うたのしみ

最近はコンビニや大型店でもお酒を気軽に買える時代に。
サケスプ編集部は、京都の酒屋さんを1軒1軒回っているうちに、品揃えの豊富なお店・角打ちスタイルのお店・1銘柄のみの取扱いのお店など「街の酒屋さんの個性」が非常に面白いと感じました。
そこで、お酒のプロに「若い世代にとって、街の酒屋さんのあり方とは?」を聞いてみることに。

京の台所・錦市場で創業220年の老舗酒舗「津之喜酒舗」8代目当主の藤井輝男 氏(以下、F)にお話をうかがいました。

 

ー錦市場では現在どういったお客さんがお酒を求めに来ますか?
 
F:お客さんは7割が外国人やね。
「京の台所・錦市場」と昔から言われているが、何を持って“京の台所”かっていうと、地元の人の食を支えていたり、地元の料理店・料亭が御用達だから。
外国人観光客の人は、その京都の人の生活を“見て・体験(食べ歩き等)できる”場所として錦市場に来ている。
  
  
ーお酒の売上的にはやはり伸びているんでしょうか?
 
F:錦市場ではそういった外国人の方にとってお土産として持ち帰られる「お酒」は売上的には伸びている。また、日本のものは外国ではすごく貴重なもの。日本に来たらいいものを豊富な種類の中から選ぶことができるので、買って帰る人が非常に多い。
海外では梅酒ブームが来ていて、「梅酒」ではなく「チョーヤ」でないと通じない国もあるらしいよ。
  
  
ー「この銘柄が欲しい」と来る外国人が多いんですね。
 
F:「ジャパニーズウイスキーを買ってきて」とか言われているみたいですね…
でも、あまりいろんな種類のお酒を飲んだことがない外国人にこそ「こんなに美味しいお酒があるのか!」と驚いて欲しい。
だから京都の日本酒を求めてやって来られる方には、丁寧に良いものを提案します。その結果、京都へまた来たいと思ってもらうこと「お酒を通じた京都の活性化」が僕が絶対にやっていきたいことです。


  
  
ーなるほど。お酒をあまり知らないというと若い世代も似ていると思うのですが、若い人にはどういった提案をしていくのが良いでしょうか?
 
F:「こんな良いもの飲んだことないです」と言う人にほど、良いものを一度飲んでもらってます。
店(津之喜酒舗)のコンセプトは「サプライヤーにはなりたくない」ということなんです。いわゆる、供給だけの酒屋ではいけないということ。
絶対に「こういうお酒が良いですよ」と“提案すること”が一番理想。
若い人は、コンビニや大型ショッピングモールに買いに行く。酒屋さんのような専門店には若い人は敷居が高いというイメージや、あまり知らないからという恥ずかしさがあると思う。
  
  
ーそう言われると、確かに私もあまり酒屋さんにお酒を買いに行くことは少ないですね。
 
F:そういう人にこそ、ぜひ買いに来て欲しい。何かわからないことは、気軽に聞いてもらえたらというスタンスでお待ちしているので。


  
  
ー最近では角打ちスタイルの酒屋さんなども増えていますが、そういった若者に対して街の酒屋さんはどういった存在であるのが理想ですか??
 
F:大型店などは品揃えが強みなので、それに酒屋が対抗するのではなく、「専門化」していくしかないと思うね。それと何より「提案型の酒屋さんであり続けること」が一番大事じゃないかな。
でもそれには、個人の気質もあるので一概には言えないですけどね。
  
  
ー時代に対応していくことも必要ですか?
 
F:変えないために変えていく、というのが必要やね。
「専門化」をしていくことは変えずに、時代によって方法など変えていく部分は変える。
時代を先行するのも良し、合わせていくのも良し、無視していくのも良し、それが各酒屋が出していく個性になっていくんじゃないかな。時代を無視していくことが、逆に最先端になることだってあるしね。昭和歌謡が若い人には新鮮、ヴィンテージがお洒落とされるのとよく似てると思うよ。なにより中途半端がいけないですね。
うちも先代から引き継いだときに全部変えたし。置いてるものから、並べ方からもう本当に全部。だから親父とは揉めたし、得意先も全て変わったけど、結果それでよかったと思ってる。
  
  
ーそれだけのパワーとバイタリティが必要なんですね。ちなみに地域にはいくつか酒販店がありますが、繋がりなどはありますか??
 
F:コンビニや大型店は一切ないが、昔からの地域の酒屋さんとは仲良くしてるし、この近所の高田酒店や溝口酒店は小学校からの同級生なんです。
でも、狭い地域の中でもスタイルが各店違うから、上手に棲み分けはできてると思います。
  
  
ー同級生なんですね!でも近頃ではそういったご近所付き合いが少ないと言われる程のネット社会ですが、これから街の酒屋さんはどう対応していくべきでしょうか??
 
F:対応していくのは、ものすごく必要だと思うね。
うちでも錦市場全体でネットはやってるけど(津之喜酒舗のお酒も購入可)、僕は「実店舗があるからネットは必要ない」と思ってる。これは間違った考えなんやけど。
実店舗があるからこそ、信用があるし、錦で200年もやってるからネットでも売ったら、売れますよと言われるけどね。
でもまだネットでの可能性も残しているということでもあるし、ネット販売に興味がないのはネットで買い物をするという「無機質さ」があまり好きじゃないからやねん。
  
  
ー「face to face」ではないというところですか??
 
F:それもあるけど、僕は自分の目で確かめたいという部分があるからやね。だから、ネットでやっていても僕が興味がないからか、あまり力を入れていないからか、あまり売れない。
でも2回目の方は別。
  
  
ー2回目の方とは??
 
F:うちで直接商品を買って帰った方が、後日「京都の地酒がものすごく美味しかったからまた送って」「藤井さんのオススメを1本送って」ということを言ってくれる方がいてて、その時はネットがすごく役に立つし、そこで生まれるコミュニケーションもある。
だから直接会って、風穴を開けておいて、その風穴をネットで繋ぐというのはすごくいいと思う。
ネットでうちの商品をはじめて買う人は、どんな好みの方かもわからないから繋がっていきにくいね。
  
  
ーなるほど。ネットではじめて買う人には、先程言っていた“提案すること”ができないんですね。
 
F:コンセプトとは逆の、サプライヤーになってしまいますね。
本来ネットは双方通行なものなんですが、僕が求めるのはもっとレベルの高い双方通行なんです。

「みやこづる」生原酒をタンクから呑めるのは津之喜酒舗だけ!
  
  
ーネット全盛期の中で「提案型の酒屋であり続けること」は、新旧の方法を並行していくことでもあるんですね。ありがとうございました!
  


  
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