【フロマージュ ドゥ ミテス】チーズ好きにはたまらない、世界各国・厳選チーズの専門店

▼烏丸御池エリアにある「フロマージュ ドゥ ミテス」は、フランス国家最優秀職人(MOF)・チーズ熟成士であるエルヴェモンス氏によるセレクトチーズを直輸入し、京都で販売しているチーズショップです。同店が扱っているチーズは、農家や小規模生産者が自然の恵みを受けながら丁寧に造り上げたチーズを、より一層美味しくなるようにと熟成士・エルヴェモンス氏が熟成させたもの。
代表の金剛丸さんは、かつてフランスのチーズ生産者の元を訪れ、住み込みで家畜の世話から学んだという本格派です。

今回は、チーズのおいしい食べ方や飲み物との相性など、チーズの楽しみ方も提案されている「フロマージュ ドゥ ミテス」代表の金剛丸 由美さん(以下、K)にお話をうかがいました。

 

欧州の本格的なチーズを日本へ

ー お店では80種類ほどのチーズを取り扱われているそうですね。
K:細かいもの含めたらもっとありますが、常時販売しているものは大体80種類です。フランス産を中心に、スペイン産やイタリア産の丁寧に造りあげられたチーズも取り揃えています。

ー ここだけにしかない希少なチーズもありますか?
K:はい。フランスには多くの村があり、その村ごとに違う種類のチーズがあると言われています。そんな村で消費されてきたような希少なチーズもあります。
私自身、お店を始める前にフランスの生産者の元を訪ね、そこでエルヴェモンスという熟成士に出会いました。彼はフランスに限らず、イタリアやスペインなどのチーズを集めて熟成させたものを、まとめて輸入してるんです。熟成士は農家などの小規模な生産者から買い付けして、自分のところの熟成カーブで熟成させています。生産量が少なくてちょっと珍しいチーズとか、同じ名前のチーズでも手作り感のある上質なものがありますね。

 

ー 熟成士という職業はチーズの生産地ならではの職業ですね。エルヴェモンスさんと出会う前から、金剛丸さんはチーズがお好きだったのですか?
K:一番最初は20代の頃、フランスへ語学留学に行ったときに、学校だけだと面白くなかったのと、途中からお金も無くなった事から学校を辞めて、オーヴェルニュ地方の山の中にあるスキー場へ行ったんですよ。スキーシーズンではなくて夏場でしたが、たまたま周りはフランスのチーズの大生産地だったんです。

 

ー 偶然訪れた場所でチーズと出会ったのですね。
K:はい。そこで毎日チーズを食べたり、チーズ作りを手伝ったりしていたんです。当時はすぐに仕事にしようとは思っていませんでしたが、時を経て「自分でチーズを扱う仕事ができれば」と考えるようになりました。その後も、チーズ農家に住み込みで、山羊を放牧させたり、乳搾りをしたり、チーズを作ったりと、何度か行いました。

ー 日本では本格的なチーズというものがまだまだ根付いていないように思うのですが、そんな中で、本格的なチーズを広めようという想いは、おいしさへの感動から出てきたのですか?
K:イタリアやフランスの家庭にあるように、週末は家族で集まってご飯食べる時間とか、そうした団らんの時間がすごく大切な事だと思うんです。今、日本だけでなく、世界的にそういう団らんの時間が少なくなってきてますよね…。チーズを通してそうした食文化を伝え、守っていけたら良いなと考えました。

 

ー 確かに家族が集まってご飯を食べる習慣というのは、昔と比べて少なくなってきているのかもしれませんね。ちなみに現地のチーズは日本に売られているものと、やはり全然違うのですか?
K:大量生産のものは簡単に食べられてたまには良いですけれど、日本で本格的な良いチーズを食べようと思うと、やはり海外から輸入しなければなりません。けれど個人で輸入しようと思うと、現地でチーズを手配して、飛行機に載せて、成田なら成田に着いてそこから京都まで運ぶという流れになります。その間に10日間近くの時間がかかるので、どうしても味は変化してしまいますよね。だからといって現地で食べた方がおいしいかと言ったら、確かにおいしいのものもありますが、そればかりではありません。

 

ー なるほど。輸入されたチーズの手入れというのは大変ではないですか。
K:海外から輸入されてきたものを、いかに私たちが手入れをして、状態を整えて、より一層おいしくしていく事は第二の仕事です。その為、現地と全く同じもの、同じ状態という風にはなりませんが、ある意味一層熟成させておいしくなる場合もあります。また、チーズは人間の手だけではなくて、目に見えない微生物が作るものなので、どうしても日本風な味になると思うんです。現地と味は違うけれど、どちらがおいしいかという事ではなく、少し日本風な味わいになってきてるのだと思います。

 

ー 日本に輸入するだけで日本風なっていくんですね。
K:例えば、北海道でジャガイモがとれたとして、宅急便で京都へ来る途中に、温かくなったら何だか味が違うよねって事と同じです。

 

ー 温度や湿度管理はチーズの種類によっても異なると思うのですが、そうした技術的な部分は何か勉強されたのですか?
K:毎日状態を見て、日々研究しながらやっています。同じ名前のチーズでも全て状態が違うんです。だから「これはちょっと紙で包んで湿度を与えよう」とか「これは乾燥させた方が良い」「これは午前中乾燥させたけれども、昼からはちょっと湿度を与えた方が良い」など、その位細かく見ていかなければなりません。
外皮の状態とか、ちょっと触ってみて柔らかいとか硬いとか、そういう状態を見ながらどうするかっていうのがコツですかね。料理と一緒でずっとやり続けてないと、きっと分からないものです。状態の変化は日々見ていないと分かりません。私自身「より一層おいしくしよう」という愛情を持って、変化を見つめていきたいですね。

 

ー 愛情をかけるという事が大切なんですね。ちなみに今までで、失敗したなということはありましたか?
K:失敗というものが、本当に分からないんですよね。チーズ自体他の農作物と一緒で季節によって全部味が変わるんです。同じ動物のミルクから同じように作られていますが、その動物が食べる餌が冬と夏では変わっているので、やっぱりミルクの熟成度も味わいも変わってくるんです。そうして出来あがってくるチーズも当然変わってくるんですよ。

ー チーズは少しの違いが大きな違いになるのですね。
K:チーズは同じ名前でも、生産者や熟成させる人によって全く別のものになるんです。本来のチェダーチーズは大きく丸い形をしていて、コクもあるし、うま味も強いんです。
使用されるミルクによる一番大きな違いは、ブルーチーズのようにチーズの中に青カビが生える事です。青カビが生えてくるというのは元々牧草とか、その土地にある菌がミルクに入って、そのミルクがチーズになった段階で着生させ、熟成の過程でその青カビの菌がぱーっと広がっていく…。元々土地にある菌がチーズの中で開いていく。工場で作っている大量生産のものはミルク自体を殺菌しているので、チーズの中で広がる事はありませんし、味わいは一定です。一方で、殺菌していないミルクから作られたチーズは、熟成と共に複雑な味が増してきて、どんどん変化していくのです。

 

日本酒とチーズの相性とは!?

ー 金剛丸さんから見て、日本酒とチーズの相性はいかがですか?
K:日本酒とチーズの会、実はよく開催するんですよ。他にも、和食や寿司と合わせる会も。日本酒とチーズはとてもよく合うと思います。逆にワインは難しいですね。

 

ーそうなんですか!ワインとチーズはよく合うものだと思っていました。
K:確かに合いますけども、ぴったりと合わせるのは中々難しいです。日本酒にはまろやかさとか甘さとかあって、全体的にチーズと合わせやすいです。

 

ー なるほど。日本酒でお好きな銘柄はありますか?
K:日本酒は詳しくないのでよく分かりませんが、甘味が強いすぎるものよりも少しすっきりしたもの。辛口の方が良いですね。先日「チーズフォンデュの会」を開いて、最後に日本酒でチーズを溶きました。普通は白ワインでチーズフォンデュを作るんですけども、日本酒を入れたところ、とても好評でした。

 

ー 「日本酒で作るチーズフォンデュ」聞いているだけで、美味しそうですね!
K:今回の「SAKE spring」には若い方も多く来られるそうですね。今の若い方ってあまりお酒も呑まないし、昔ながらのチーズもそんなに食べないのかもしれません。ですが、ぜひこの機会に日本酒とチーズのおいしさを知ってもらって、「日本酒にはチーズだよ」という言葉をみんなに言ってもらえるように、そんな新しい提案ができればと思っています。

 

ー ありがとうございました!

 

【DATA】

「フロマージュ ドゥ ミテス」

所在地:京都府京都市中京区衣棚通押小路上ル上妙覚寺町217 ドゥエル辻本1階