【木下酒造】「味の想像家」たちがつくる、食事の名パートナー

【木下酒造有限会社】

▼日本酒通からビギナーまで、味で評判の高い「木下酒造」。イギリス人のフィリップ・ハーパー氏を杜氏として招いたり、ユニークなデザインのラベルのお酒を投入するなど、新しい話題にも事欠きませんが、根底にあるのはどこまでも「日本酒らしい日本酒」を造る王道の姿勢。そして、「食事に合う酒」という理念。美しい自然に囲まれた酒蔵で、本質を追求する酒造りが続きます。

今回は「木下酒造」営業課長・橋本英樹さん(以下、H)にお話をうかがいました。

酒造りにかける思い 〜食事に合う酒を〜

ー 歴史や想いがウェブサイトに書かれていました。

弊社は天保13年(西暦1842年)より約175年にわたって、酒造りを継承してまいりました。創業は5代、木下善兵衛が30町歩あった田圃から収穫した米を、裏山から懇々と湧き出る山水で酒造りを始めたようです。…

玉川という名前の由来は蔵のすぐ隣に川上谷川という川があり、玉砂利を敷き詰めた感の、清流であったそうです。当時、川や湖を神聖視する習慣もあり、玉(とてもきれいな)のような川というところから、玉川と命名されました。

11代目蔵元となってからは、私の生まれる前から木下酒造に勤めていた中井昭夫杜氏と二人三脚で歩んでまいりました。…平成19年からは、イギリス人のフィリップ・ハーパーが杜氏を務めております。酒造りの経験は25年を超え、家付き酵母を使った自然仕込みの山廃や、江戸時代の製法を再現した酒など、挑戦的な酒造りで玉川の新たなファン層をつくりだしています。

*同社公式サイトより引用

H:はい、ここにまさに書かれている通りです。

ー 「SAKE Spring」では、若い方にも日本酒の魅力を知って貰う事を趣旨にしています。こちらのお酒に関しても、若い方の消費量は減ってきていると感じますか?
H:消費量は下がってきてますよね。だけど呑んでる人数は増えてきてませんか? 日本酒っていいものだよねっていうムードが出てきいます。チャンスはそこだと思います。「玉川」の場合は食事と一緒に、という事を前提にしています。お酒だけで呑まれる方もいらっしゃいますけど、何かと合わせて呑んでいただきたいと思いますね。
日本酒は和食に限らずフレンチやイタリアン、中華にも十分合わせられます。

ー 最近スイーツとのペアリングもよく耳にします。
H:そうそう。弊社の場合は「和食だったらこのジャンルのお酒、中華ならこっちの酒」というような考えがしっかりあるんです。狙ったわけじゃないんですけどね。山廃純米酒はブルーチーズに合うなど、意外な組み合わせもありますよ!
他にも、大吟醸とキムチとかね。発酵食品って日本酒との相性が良いと思います。同じ発酵食品じゃないですか。

(木下酒造さんで販売されているノンアルコールの「地酒ソフト」)

ー そうした食べ物の組み合わせを考えると、面白いですね。
H:日本酒を冷酒でどんどん呑み出したのは最近ですよね。冷酒で呑みやすいお酒っていっぱいありますけど、食事と合わせる事を考えると、実はごく限られた料理しか難しいんじゃないでしょうか。冷酒で香りの華やかなスッと呑みやすいお酒も、確かに必要だと思いますけど、私たちは少し違う方向性です。

ー 日本酒初心者さんは、どういったところから日本酒を楽しむのが良いでしょうか?
H:若い皆さんには、色々なお酒を呑んで欲しいと思っています。日本全国に色んなお酒があって、それぞれに蔵の個性があります。実際のところ、お酒単体でぐいぐい呑むのは体にも良くないので、やっぱり食事を食べながら楽しく呑んで欲しいですね。お酒が主役にならなくても良いと思うんですよ。お酒は脇役でも良いんじゃないですか。

ー なるほど。ちなみに、先日他の酒蔵さんの取材でも(木下酒造さんは)杜氏さんを外国の方にされたり御社が新しい流れを作ってはる、という話が出ました。
H:その点については、少し勘違いされているところもあるかもしれません。うちの杜氏は外国人ではありますが、実は新しい事はあまり考えてないんですよ。「酒造りとは本来こういうものだ」というところを貫いてるだけなんです。それがたまたま周りから見たらそうなっていたのです。
例えば、弊社の新しいラベルでは、ペンギンやサルを描いて新しい見せ方をしていますが、お酒の本質的なところは全く変えていないんです。昔ながらと言いますか、今どきの酒じゃないんです。入口は「このラベル面白いやん、新しいやん」でもいいと思います。そこから日本酒のおいしさを知って貰えたら最高ですね。

(玉川 純米吟醸 Ice Breaker 無濾過生原酒 ※季節商品)

【DATA】
「木下酒造有限会社」
所在地:京都府京丹後市久美浜町甲山1512
代表銘柄:「玉川」